電話対応が苦手で辞めたい?場面別の例文を解説!
職場で固定電話が鳴るたびに手が止まる。その状態を抱えている人は、決して少数派ではありません。株式会社ソフツーが2026年7月に公表した職場の電話業務に関する調査では、電話に苦手意識を持つ人が全体の64.4%にのぼり、2023年の前回調査から6.6ポイント増えました。
苦手意識が積み重なると、やがて仕事そのものを辞めたいという気持ちに変わります。ただし、その苦手の正体は性格や向き不向きではなく、とっさに口から出てくる言葉の型を持っていないことである場合が大半です。型が手元にあれば、電話は考えながら話す作業から、当てはめる作業へと変わります。
この記事では、電話対応が苦手で辞めたいと感じる背景を数字で整理したうえで、受け方から取り次ぎ、聞き返し、折り返しまでの言い回しを場面別に並べます。型を身につけても辛さが消えないときの相談先まで扱います。
この記事で分かること
- 電話に苦手意識を持つ人の割合と年代別の傾向
- 声だけのやり取りが不安を強める仕組み
- 受け方や取り次ぎ、聞き返し、折り返しの具体的な例文
- 型を使っても辛さが残るときの相談先と選べる道
電話対応が苦手で辞めたい理由
電話が苦手だという感覚は、根性や性格の問題として片づけられがちです。しかし調査の数字を見ると、その感覚はむしろ多数派に近く、背景には電話という手段そのものの特性があります。
まずは自分の状態を客観的な位置に置き直すところから始めます。原因が分かれば、対処すべき場所も自然に絞り込めます。
電話が苦手な人は6割を超える
株式会社ソフツーが2026年7月21日に公表した「職場における電話業務の実態調査」は、全国の20歳以上で職場に固定電話がある1,000名を対象にしたものです。この調査で、電話に「とても苦手意識を感じる」「やや苦手意識を感じる」と答えた人は合計64.4%でした。
2023年に実施された前回調査の数値は57.8%だったため、3年間で6.6ポイント増えた計算になります。電話の苦手意識は個人差の問題であると同時に、年々広がっている傾向でもあります。
年代別に見ると、最も高いのは30代の72.5%で、20代の70.0%がそれに続きます。若手だけの問題として語られやすい一方で、実務の中心にいる30代の方が数値は高いという結果でした。経験を積めば自然に消えるとは限らないことを示しています。
さらに、職場の固定電話が鳴ること自体を不快に感じると答えた人は全体で56.1%、20代では64.3%、30代では63.5%にのぼりました。着信音そのものが負担になっている状態です。
| 区分 | 苦手意識あり | 着信音が不快 |
|---|---|---|
| 全体 | 64.4% | 56.1% |
| 20代 | 70.0% | 64.3% |
| 30代 | 72.5% | 63.5% |
| 2023年の全体 | 57.8% | 調査値なし |
この数字が示すのは、電話対応が苦手で辞めたいと考えている人が、職場の中で例外的な存在ではないという事実です。同じ執務室にいる同僚の多くが、程度の差はあれ同じ負担を抱えています。自分だけが劣っているという前提を外すことが、最初の一歩になります。
声だけの会話が不安を強める理由
対面の会話では、相手の表情や姿勢、うなずきといった情報が言葉と同時に入ってきます。電話ではそれが全て落ち、声だけが手がかりになります。数秒の沈黙が「怒っているのか」「話が伝わっていないのか」という想像に直結し、不安が加速します。
加えて、固定電話は誰から何の用件でかかってくるかを選べません。個人のスマートフォンのように相手の名前が事前に表示されず、心の準備をする時間がないまま応答が始まります。予測できない状況に即興で対応する、という条件が重なっています。
もう一つ大きいのが、周囲に聞かれているという条件です。オフィスの電話は、上司や先輩がいる場で行う会話でもあります。うまく話せなかった場面がその場の全員に共有されるという意識が、緊張をさらに押し上げます。
医療の領域では、こうした評価される場面での強い不安は社交不安症として整理されています。動悸や発汗、声の震えといった身体反応を伴う場合もあり、電話の場面に限って強く出るタイプも知られています。本人の努力不足とは別の枠組みで扱われる問題です。
電話の苦手を強める三つの条件
- 相手の表情が見えず、沈黙の意味を読み取れない
- 誰から何の用件で来るか事前に分からない
- やり取りが職場の全員に聞こえている
この三つはいずれも本人の性格ではなく、電話という手段の側にある条件です。
言い換えると、電話が苦手なのは「電話が苦手になりやすい設計の道具」を毎日使っているからです。設計が変えられない以上、こちらが準備できるのは、条件に左右されない言葉の型を持っておくことに絞られます。
電話対応の苦手を例文で克服する
ここからは、実際の受話器の前で使える言い回しを場面ごとに並べます。暗記する必要はなく、机の隅にメモとして置いておく形で十分に機能します。
電話応対には公的な検定も用意されており、公益財団法人日本電信電話ユーザ協会が実施する電話応対技能検定(もしもし検定)では、指導者級から4級までの段階で応対技能が体系化されています。型を学べる領域であることの裏づけでもあります。
受けるときの第一声を固定する
苦手意識が強い人ほど、受話器を取った瞬間に何を言うかを毎回ゼロから考えています。ここを固定するだけで負荷は大きく下がります。第一声は状況で二つに分けるだけで足ります。
三コール以内で取れたとき「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇でございます」
三コールを超えたとき「大変お待たせいたしました。株式会社〇〇でございます」
相手が名乗ったあと「いつもお世話になっております」
ビジネスの電話で「もしもし」は使いません。この一語を封じておくだけで、出だしの迷いが減ります。また、相手が社名と名前を告げたら、その場で復唱しておくと聞き返しの回数を減らせます。
受話器を取る前の準備も型にできます。メモ用紙の欄をあらかじめ四つに区切り、相手の会社名、氏名、用件、折り返しの要否だけを埋める形にしておくと、書き取る内容を考える負担が消えます。
名乗り方は職場によって細かい決まりがあります。社名だけで足りる職場もあれば、部署名や自分の氏名まで続ける運用もあります。着任してすぐの時期は、隣席の人が実際に使っている言い回しをそのまま書き写しておくのが確実です。自己流で組み立てると、確認のたびに迷いが生まれます。
第一声そのものの言い回しは場面ごとに変わります。時間帯や相手との関係による使い分けは電話の挨拶は何が正解?場面別の例文を解説!で整理しています。
取り次ぎと保留で使う言い回し
取り次ぎは、電話業務の中で最も回数が多く、同時に最も型が効く場面です。相手の指名を復唱し、保留に入る許可を得る、という二段階で組み立てます。
指名された人へ取り次ぐ「〇〇でございますね。ただいまおつなぎいたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか」
保留が長引きそうなとき「お待たせしております。もう少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」
担当が分からないとき「恐れ入りますが、どのような件でございますか。担当の者にお取り次ぎいたします」
保留は30秒が目安です。それを超えそうなときは一度回線に戻り、状況を伝えてから再度保留にします。無言で待たせ続けることが、相手の不満を最も強く生みます。
敬語の面では、社内の人間に敬称を付けない点が要注意です。「田中部長は席を外しております」ではなく「田中は席を外しております」が正しい形になります。社外の相手から見れば、部長も新人も同じ自社側の人間だからです。
敬語の使い分けに迷ったときは、文化庁が公開している敬語の指針が判断の基準になります。尊敬語や謙譲語の分類が具体例つきで示されており、電話応対の言い回しの根拠としても使えます。
取り次ぎ先が離席していた場合の動きも、あらかじめ決めておきます。保留のまま席を探し回るのではなく、いったん回線に戻って状況を伝え、折り返しに切り替える判断を早めに出します。探す時間が読めないまま待たせ続けることが、最も相手の負担になる進め方です。周囲に在席状況を確認する声かけも、遠慮せず行って差し支えありません。
聞き取れないときの聞き返し方
聞き取れなかったときに固まってしまう。これが電話対応の苦手を決定づける場面です。ここには専用のフレーズがあり、覚えておけば沈黙を作らずに済みます。
社名が聞き取れない「恐れ入ります。お電話が少々遠いようでございます。もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」
名前の漢字が不明「失礼ですが、お名前はどのようにお書きしますでしょうか」
電話番号を確認「復唱いたします。03の1234の5678でお間違いございませんでしょうか」
「聞こえません」という表現は、相手の話し方に問題があるように響きます。回線の状態のせいにする「お電話が遠いようです」に置き換えるのが定石です。同じ内容を伝えながら、相手に非を負わせない形になります。
聞き返しは失礼だと感じて我慢する人が多い場面ですが、誤った内容を伝言してしまう方がはるかに重い失敗を招きます。その場で二度確認する方が、結果として相手の手間を減らします。
数字や固有名詞は必ず復唱する、という一点だけを習慣にしておけば、聞き返しのタイミングを毎回判断する必要がなくなります。復唱は確認であると同時に、自分がメモを書き取る時間を稼ぐ手段にもなります。
不在と折り返しを伝える例文
担当者が不在のときの応対は、伝える情報の順番が決まっています。不在である事実、戻る見込み、こちらから取る行動、この三つを順に置きます。
席を外している「あいにく〇〇は席を外しております。戻り次第、折り返しご連絡を差し上げるようお伝えいたします」
外出している「あいにく〇〇は外出しており、本日は戻らない予定でございます。明日あらためてご連絡いたしましょうか」
会議に入っている「あいにく〇〇はただいま会議に入っております。15時には終了の予定でございます」
最後に自分の名前を告げて締めます。「私、〇〇が承りました」の一言があるだけで、相手は伝言の行き先を把握できます。責任の所在が明確になり、後から確認する電話も減ります。
伝言メモに残す項目も固定しておきます。
- 受けた日付と時刻
- 相手の会社名と氏名
- 用件の要点
- 折り返しの要否と連絡先
- 受けた自分の名前
この五項目を埋めるだけの用紙を用意しておけば、通話中に何を書くか迷う時間がなくなります。取り次ぎ相手が席に戻った際も、そのまま渡すだけで内容が伝わります。
不在対応で避けたい言い方
「分かりません」「たぶん戻ります」といった曖昧な返答は、相手を再度かけ直させる原因になります。見込みが立たない場合も「戻る時間が未定でございますので、折り返しご連絡を差し上げます」と、こちらが動く形に変換します。
取り次ぎに失敗して折り返しが遅れた場合の謝罪は、電話ではなくメールで行う場面もあります。文面の作り方は電話に出れなかったお詫びメールの例文は?場面別に解説!にまとめています。
それでも辞めたいときの相談先
型を手に入れても辛さが消えない場合があります。そのときに我慢を続ける必要はありません。辞めるか続けるかの二択にする前に、間にある選択肢を確認します。
最初の相談先は直属の上司です。電話が苦手であることを伝えると、取り次ぎの担当範囲を調整したり、一次受けの本数を減らしたりといった対応が取れる職場もあります。相談は弱さの表明ではなく、業務分担の見直し提案として扱われます。
身体の反応が出ている場合は、社内の相談窓口や産業医が次の相談先になります。動悸や吐き気、出社前の強い緊張が続いているなら、対処の対象は電話の技術ではなく体調の側です。厚生労働省が運営するこころの耳では、働く人向けの電話やSNSの相談窓口が案内されています。
それでも改善しないときに、職種の変更や転職が視野に入ります。順番として最後に置くのは、環境を変えても電話業務が完全になくなる職場は多くないためです。先に型と相談を試しておくと、次の職場でも同じ壁に当たりにくくなります。
強い言葉を受けたことがきっかけで苦手意識が固まった場合は、その場面専用の対処が必要です。苦情を受けたときの受け答えは接客クレームのお詫び例文は?場面別に解説!で扱っています。
電話対応が苦手な人のよくある質問
ここからは、電話の苦手意識に関して検索されることの多い疑問に短く答えます。本文で扱いきれなかった論点を補う位置づけです。
慣れるまでの期間はどのくらいか
一般に、一次受けの回数が一日十件前後ある職場であれば、二か月から三か月で緊張の度合いが下がる傾向があります。ただし期間より回数が効くため、電話の本数が少ない職場ほど慣れるまでに時間がかかります。
慣れの正体は、想定外の展開が減ることです。同じ取引先から同じ用件でかかってくる回数が増えるほど、次に何を言われるかの予測が立ちます。受けた電話の内容を三行だけ記録に残しておくと、この予測の精度が早く上がります。
記録に残す三行
相手の会社名、用件の種類、こちらが返した言葉。この三つを一行ずつ書き残すだけで、二週間もすると自分の職場で頻出する用件の型が見えてきます。
逆に、慣れが進まないと感じるときは、電話に出る回数そのものが少ない可能性があります。周囲が気を遣って先に受話器を取っている職場では、経験が積み上がりません。一日に二本だけ自分から取る、といった小さな目標を先に置く方が、結果として早く負担が下がります。
電話対応が少ない仕事はあるか
電話の総量が構造的に少ない職種は存在します。社内向けの開発職やデザイン職、Webの制作職、倉庫や製造の現場職などは、外線の一次受けを担当しない体制になっている場合があります。
一方で、電話が完全にゼロになる仕事はほとんどありません。取引先との急ぎの連絡や社内の緊急連絡は、いまも電話で流れます。求人票を見る際は「電話対応なし」という表記よりも、一次受けの担当が誰かという運用の実態を確認する方が確実です。
近年は自動音声応答や電話代行を導入し、一次受けを人が担当しない企業も増えています。転職を検討する場合、そうした仕組みの有無は面接で質問しても差し支えのない項目です。
電話恐怖症は病気にあたるのか
電話恐怖症、いわゆるテレフォビアは正式な診断名ではありません。ただし、電話の場面で動悸や発汗、強い回避行動が起き、仕事や生活に支障が出ている場合は、社交不安症などの背景がある可能性があります。
判断の目安は、苦手か否かではなく支障の有無です。電話が鳴る時間帯に出社できない、通話後に長時間立て直せないといった状態が続くなら、医療機関の受診が選択肢に入ります。治療の対象になる場合、投薬や認知行動療法が用いられます。
苦手意識の段階であれば、この記事で挙げた言葉の型と記録の習慣で十分に対処できる範囲です。自分がどちらの段階にいるかを見極めることが、次の行動を決める分かれ目になります。
なお、周囲に説明する際は「電話が嫌い」ではなく「不在時の取り次ぎで判断に迷う場面が多い」といった具体的な形にすると、支援を受けやすくなります。抽象的な苦手の表明は根性論で返されやすい一方、業務上の具体的な詰まりとして示せば、手順の整備という現実的な対応につながります。
電話対応が苦手で辞めたい人へのまとめ
電話に苦手意識を持つ人は全体の64.4%、30代では72.5%にのぼります。苦手であること自体は職場で例外ではなく、原因も性格ではなく、表情が見えない、用件を選べない、周囲に聞かれるという電話側の三条件にあります。
対処の中心は言葉の型です。第一声を二種類に固定し、取り次ぎと保留、聞き返し、不在と折り返しの言い回しを手元に置いておけば、通話中に考える量が大きく減ります。数字と固有名詞は必ず復唱する、という一点を習慣にするだけでも精度は上がります。
それでも辛さが残るときは、上司への相談、社内窓口や産業医、公的な相談窓口という順で頼れる先があります。辞めるか続けるかの二択にする前に、間の選択肢を試す価値があります。電話対応が苦手で辞めたいという気持ちは、多くの場合、道具が足りていないだけの状態を指しています。