職場の異動や退職を見送る送別会では、誰がどの順番で挨拶をするのかで、会全体の印象が大きく変わります。順番を取り違えると、上司の立場を立てられなかったり、主役への感謝が伝わりにくくなったりすることがあります。

とはいえ、幹事を任されると「開会と乾杯はどちらが先なのか」「主役の挨拶はいつ入れるのか」と迷う場面が少なくありません。送別会の挨拶には、役職や立場に沿った基本の流れがありますので、型を押さえておけば当日も落ち着いて進行できます。

この記事では、送別会の挨拶の順番と全体の流れを整理し、担当ごとにそのまま使える例文まで具体的に紹介します。

  • 送別会の挨拶が入るタイミングと全体の進行の流れ
  • 開会・乾杯・主役・締めなど立場別の挨拶の順番
  • 担当ごとにそのまま使える送別会の挨拶の例文
  • 順番や時間配分で迷ったときの判断のポイント

送別会の挨拶の順番と基本の流れ

送別会の挨拶の順番を考えるうえで、まず押さえておきたいのが会全体の進行です。挨拶がどの場面に入るのかという全体像が見えると、当日の司会進行も組み立てやすくなります。順番の土台さえ分かれば、あとは担当を割り当てるだけで進められます。

送別会の進行と挨拶が入る流れの図

送別会全体の進行と挨拶が入るタイミング

一般的な送別会は、会場に全員がそろったところで開会の挨拶から始まります。司会を務める幹事が開会を告げ、続いて参加者のなかで最も役職の高い方が「はじめの挨拶」を述べる流れが基本です。その後に乾杯の音頭が入り、歓談へと移っていきます。

歓談がひと段落したところで、送られる主役へ花束や記念品を贈呈し、それを受けて主役本人が挨拶を述べます。会の終盤では中締めの挨拶と手締めで全体を締め、司会が閉会を告げて解散という順番が一般的な形です。

この一連の流れのなかで、挨拶が入るのは「開会」「はじめの挨拶」「乾杯」「主役の挨拶」「中締め」の五つの場面が中心になります。下の表に、それぞれのタイミングと担当、時間の目安をまとめました。会場の広さや人数によって前後することもありますが、大きな骨組みは変わらないと考えられます。

幹事として準備する際は、開始の15分ほど前に会場へ入り、席次や進行表、記念品の置き場所を確認しておくと安心です。とくに挨拶をお願いする方には、当日いきなり指名するのではなく、事前に「はじめの挨拶をお願いします」と役割を伝えておくと、相手も心の準備ができます。順番が決まっていれば、途中で誰に振るか迷うこともなくなり、会の流れが途切れません。

また、開始前に主役の席を上座に用意し、贈呈の花束や色紙をすぐ渡せる場所にまとめておくと、進行がなめらかになります。こうした段取りは挨拶そのものではありませんが、順番どおりに会を運ぶための土台になる部分ですので、あわせて押さえておきたいところです。

順番 場面 担当 時間の目安
1 開会の挨拶 司会(幹事) 30秒ほど
2 はじめの挨拶 最も役職が上の方 2〜3分
3 乾杯の音頭 三番手ほどの立場の方 1分以内
4 歓談・記念品の贈呈 参加者全員 会の中心
5 主役の挨拶 送られる本人 3分ほど
6 中締めの挨拶 二番手の立場の方 1分ほど

なお送別会そのものの意味合いは、旅立つ人へ感謝と激励を伝える会として辞書でも説明されています。言葉の由来を確認したい場合はコトバンクの送別会の項目が参考になります。

誰がどの順番で挨拶するのか(立場別の目安)

送別会の挨拶で最も迷いやすいのが、役職と挨拶の順番の対応です。基本の考え方はシンプルで、格の高い挨拶を上位の方に、場を和ませる挨拶を中堅の方に割り当てると、全体のバランスが整います。

「はじめの挨拶」は、その場にいる最も役職の高い方が担当するのが原則です。会の冒頭で全体を引き締める役割があるため、部長や課長など責任ある立場の方にお願いします。一方で乾杯の音頭は、上位者が続けて話す形を避けるため、三番手ほどの立場の方が受け持つ慣習がよく知られています。明るくグラスを掲げ、歓談への流れをつくる役割です。

主役である送られる本人の挨拶は、歓談から贈呈へと進んだ会の中盤から終盤に入ります。そして最後の中締めは、二番手にあたる立場の方が手締めとともに締めるのが収まりのよい形です。この担当の割り振りを図にすると、下のように整理できます。

立場別の挨拶担当と順番の目安の図

迷ったときの目安として、「一番上の方が最初、二番目の方が最後、三番目の方が乾杯」と覚えておくと、大きく外すことは少ないと考えられます。

ただし、この順番はあくまで一般的な目安です。たとえば主役自身がその部署で最も役職の高い方である場合や、当日に社長や部長が欠席する場合には、担当を繰り上げて調整します。上位の方が二名しかいないときは、はじめの挨拶と中締めを二人で分け、乾杯を別の中堅の方にお願いすると収まります。

大切なのは、役職の順番を機械的に当てはめることよりも、その場の顔ぶれに合わせて敬意が伝わる並びにすることです。社外の来賓が同席する送別会であれば、来賓を主賓として先に立てるなど、状況に応じた配慮も必要になります。判断に迷う場合は、後ほど紹介する確認先に相談すると安心です。

送別会の挨拶を順番ごとに例文で解説

ここからは、送別会の挨拶を順番に沿って例文で確認していきます。担当ごとに構成のポイントを押さえながら、そのまま使える言い回しを紹介します。言葉づかいに迷ったら、まず型を借りて自分の言葉に置き換えるのが近道です。

挨拶ごとの役割と時間の目安を示すカード図

開会と司会進行の挨拶例文

開会の挨拶は、司会を務める幹事が担当します。長く話す場面ではなく、会の開始を告げて次の挨拶へつなぐことが役割です。あいさつ、開催の趣旨、進行の流れを手短に伝えれば十分です。

司会は会全体の進行役でもあります。各挨拶の前には担当者の役職と名前を丁寧に紹介し、挨拶が終わるたびにひと言添えてから次へ移ると、流れがなめらかになります。開会の言葉は明るく、はっきりと述べることを心がけます。

【開会の例文】皆さま、本日はお忙しいなかお集まりいただき、ありがとうございます。ただ今より、○○さんの送別会を始めさせていただきます。本日は日ごろの感謝を込めて、和やかにお送りできればと思います。それでは、はじめに△△部長よりひと言頂戴いたします。

このように、司会は「感謝」「開会の宣言」「次の担当への振り」の三点を押さえると、短くてもきちんとまとまります。進行に不安がある場合は、手元に順番を書いたメモを用意しておくと安心です。

司会の言葉づかいで気をつけたいのは、丁寧さと明るさの両立です。かしこまりすぎると場が硬くなり、くだけすぎると送別会の趣旨がぼやけてしまいます。「頂戴いたします」「お願いいたします」といった丁寧な言い回しを基本にしつつ、声のトーンは少し明るめに保つと、会全体が和やかに進みます。

時間の管理も司会の大切な役目です。挨拶が予定より長くなりそうなときは、次の場面へ移るタイミングをはかりながら、歓談の時間を確保します。閉会の際には、参加へのお礼と二次会の案内を手短に添えて締めると、参加者が次の行動に移りやすくなります。

乾杯と主賓・上司の挨拶例文

はじめの挨拶と乾杯は、送別会の序盤で会の空気をつくる大切な場面です。はじめの挨拶は最も役職の高い方が述べ、会の趣旨と主役へのねぎらいを伝えます。続く乾杯は三番手ほどの立場の方が担当し、短く明るくまとめます。

上司として挨拶する場合は、主役の功績や人柄に触れると、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。堅くなりすぎず、それでいて敬意を欠かさない言葉づかいが求められます。敬語の使い分けに迷ったときは、文化庁の敬語の指針のような一次資料を確認しておくと安心です。上司の挨拶の組み立て方は歓送迎会の挨拶は上司としてどう述べる?例文付きで解説!でも詳しく整理しています。

【乾杯の例文】ご紹介にあずかりました□□です。○○さんとは長くご一緒させていただきましたが、いつも周囲への気配りを忘れない方でした。新天地でのご活躍を願って、乾杯したいと思います。それでは皆さま、グラスをお持ちください。○○さんの門出を祝して、乾杯。

はじめの挨拶を述べる方は、会の趣旨と主役への感謝を軸に構成すると、格を保ちながら温かい言葉になります。主役の在職中の働きぶりや印象的なエピソードにひとつ触れると、聞き手の共感を得やすくなります。逆に、過度に個人的な話や、後任者への注文といった話題は、送別会の場にはふさわしくないため避けるのが無難です。

乾杯の挨拶に少し遊び心を添えたい場合もあります。場を和ませるひと工夫については乾杯の挨拶にユーモアはどう入れる?例文付きで解説!が参考になります。ただし送別会は感謝が主役ですので、笑いは控えめに添える程度にとどめるのが上品と言えるでしょう。乾杯の音頭では、話が長くならないよう三十秒ほどで切り上げ、最後に「乾杯」の発声で全員のグラスを合わせる流れを意識します。

主役への言葉と本人挨拶の例文

歓談がひと段落したら、送られる主役へ花束や記念品を贈呈します。贈る側は短い言葉で感謝を伝え、そのあとに主役本人が挨拶を述べる順番です。餞別や記念品を渡す場面は、送別会のなかでも最も気持ちが表れるところと言えます。餞別という言葉の意味はWeblioの餞別の解説でも確認できます。

主役の挨拶では、これまでお世話になった感謝と、今後への前向きな気持ちを伝えます。長くなりすぎないよう、思い出はひとつかふたつに絞り、周囲への感謝の言葉で締めくくると印象が良くなります。異動か退職かで内容の重みは変わりますが、基本の構成は共通しています。

【主役の挨拶の例文】本日はこのような会を開いていただき、ありがとうございます。至らない点も多かった私を、皆さまにいつも支えていただきました。この職場で学んだことを胸に、新しい場所でも努力を重ねてまいります。これまで本当にありがとうございました。

異動の場合と退職の場合では、主役の挨拶の内容も少し変わります。異動であれば「また社内でお会いできる」という前向きな結びが自然ですし、定年退職や転職であれば、これまでの感謝をより丁寧に伝える言葉が中心になります。どちらの場合でも、支えてくれた同僚や上司への具体的な感謝をひと言入れると、気持ちがまっすぐ届きます。

贈る側の言葉は「感謝」と「激励」を軸にすると、短くても気持ちが伝わります。主役が話しやすいよう、司会が贈呈から挨拶への流れを丁寧につなぐことも大切です。花束や記念品は、主役が挨拶を終えて席に戻る前に渡すか、挨拶の直前に渡すかを事前に決めておくと、受け取る側もあわてずにすみます。

中締め・締めの挨拶と順番の締めくくり方

会の終盤は、中締めの挨拶で全体を締めます。中締めは二番手にあたる立場の方が担当し、感謝の言葉に続けて手締めを行うのが定番の順番です。手締めには一本締め、三本締め、一丁締めなどがあり、会の規模や雰囲気に合わせて選びます。

手締めの前には、参加へのお礼と主役への激励をひと言添えます。掛け声を合わせるとその場に一体感が生まれ、締まりのある終わり方になります。手締めの種類と掛け声は下の図で確認できます。

中締めで使う手締めの種類と掛け声の図

手締めの種類は、会の格式や人数で選び分けます。改まった大きな会では三本締めが用いられますが、一般的な社内の送別会であれば一本締めで十分に格を保てます。少人数の会や二次会では、一回だけ手を打つ一丁締めが手軽で、場の雰囲気を壊さずに締められます。掛け声を出す前に「お手を拝借」とひと言添えると、参加者が手を止めて注目しやすくなります。

中締めの言葉の組み立て方をさらに詳しく知りたい場合は、送別会の中締めの挨拶はどう述べる?例文付きで解説!にまとまった例文があります。締めのあとは司会が閉会を告げ、二次会の案内などを添えて会を結びます。中締めと閉会をひとつにまとめる場合もありますが、手締めで一度区切りをつけてから閉会の言葉に移ると、順番として自然にまとまります。

【中締めの例文】皆さま、宴もたけなわではございますが、そろそろお時間となりました。○○さんの新たな門出を、皆さんで盛大にお祝いしたいと思います。それでは、一本締めで締めさせていただきます。お手を拝借。よー、パパパン パパパン パパパンパン。ありがとうございました。

送別会の挨拶の順番に関するよくある質問

最後に、送別会の挨拶の順番でよく寄せられる疑問をまとめました。当日の判断に迷ったときの参考にしてください。

挨拶の順番に迷ったら誰に確認すればよいですか

まずは総務担当や前年の幹事に確認するのが確実です。職場ごとに慣習が異なるため、過去の進行表が残っていれば最も参考になります。上司の並び順に自信がない場合は、直属の上司へ事前に相談しておくと、当日の行き違いを防げます。相談する際は、はじめの挨拶と乾杯、中締めの三つの担当だけでも先に固めておくと、残りの流れは自然に決まります。

乾杯と締めの挨拶は同じ人でもよいですか

原則としては別の方に分ける形が収まりの良い順番です。役割を分散させることで、複数の方に花を持たせられます。ただし少人数の送別会であれば、一人が兼務しても問題ないと考えられます。人数や場の雰囲気に合わせて柔軟に判断します。もし兼務をお願いする場合は、乾杯のときに「のちほど締めも務めさせていただきます」とひと言添えておくと、参加者も流れを把握しやすくなります。

一人あたりの挨拶は何分が目安ですか

乾杯や中締めは1分以内、はじめの挨拶や主役の挨拶は2〜3分ほどが目安です。挨拶が長引くと歓談の時間が削られるため、要点を三つ以内に絞ると聞きやすくなります。全体の挨拶時間は会の一割ほどに収めると、ちょうどよいバランスになります。原稿を用意する場合でも、読み上げるのではなく手元のメモを見ながら自分の言葉で話すほうが、気持ちが伝わりやすくなります。

主役の挨拶は最初と最後のどちらが正解ですか

主役の挨拶は、会の中盤から終盤に入れるのが一般的な順番です。歓談で場が温まり、記念品の贈呈を終えたあとに述べると、感謝の言葉が最も自然に響きます。冒頭に置くと会全体が締めの雰囲気になりやすいため、贈呈に続けて配置するのが無難と言えるでしょう。

送別会の挨拶の順番を押さえて心地よい会に

送別会の挨拶の順番は、開会から始まり、はじめの挨拶、乾杯、歓談と贈呈、主役の挨拶、中締めという流れが基本の形です。格の高い挨拶を上位の方に、場を和ませる挨拶を中堅の方に割り当てると、全体のバランスが自然に整います。

それぞれの担当が役割と時間の目安を押さえ、感謝の気持ちを軸に短くまとめれば、主役にとっても参加者にとっても心地よい会になります。今回紹介した順番と例文を土台に、職場の雰囲気に合わせて言葉を整えてみてください。落ち着いた進行が、旅立つ方への何よりの贈り物になると考えられます。

幹事を任されると気負ってしまいがちですが、順番と担当さえ整理できていれば、当日は流れに沿って進めるだけで会は形になります。開会から中締めまでの骨組みを頭に入れ、あとは主役への感謝という一点を全員で共有すれば、多少の段取りの前後は気になりません。準備の段階で一度シミュレーションしておくと、より安心して当日を迎えられます。