あっという間に松の内が明け、お正月の雰囲気も落ち着いてくる頃。ふと、「年賀状を出しそびれてしまった」「年賀状をいただいたのに、返事を出していない」と気づき、焦りを感じている方もいらっしゃるかもしれません。新年のご挨拶は、日頃お世話になっている方々との大切なコミュニケーションの一つです。年賀状をもらったのに出さないままでいると、相手に失礼にあたるのではないかと心配になることもあるでしょう。しかし、ご挨拶が遅れてしまった場合にも、日本には「寒中見舞い」という丁寧なフォローアップの習慣があります。年賀状が出せなかった場合のお詫びは、この寒中見舞いに含めて送るのが一般的なマナーとされています。この記事では、年賀状が出せなかった時のお詫びの気持ちを伝える寒中見舞いの例文や、送る時期、基本的なマナーについて、WEBライターとして分かりやすく調査し、まとめました。
この記事を読むことで、以下のような点が明確になるかもしれません。
・年賀状が出せなかった時に寒中見舞いを送る理由と適切な時期
・寒中見舞いの基本的な構成と書き方のマナー
・ビジネス、友人、喪中など状況別の具体的な例文
・メールやラインでお詫びを伝える場合の注意点
年賀状が出せなかった時のお詫びと寒中見舞いの基本マナー
ここでは、年賀状が出せなかった場合の基本的な対応と、その際に活用される寒中見舞いの役割やマナーについて説明していきます。なぜ寒中見舞いが適切なのか、いつまでに送ればよいのかなど、お詫びの気持ちを伝える上での土台となる知識です。順に見ていきましょう。
年賀状をもらったのに出さないのは失礼?
寒中見舞いを送る最適な時期とは
寒中見舞いの基本的な構成要素
年賀はがきや切手は使えるか
喪中で年賀状が出せなかったお詫び
相手が喪中の場合の寒中見舞い
年賀状をもらったのに出さないのは失礼?
新年の挨拶として送られる年賀状は、相手への感謝や近況を伝える大切な習慣です。そのため、年賀状をもらったのに出さないままでいることは、相手から見ると「挨拶が一方通行になってしまった」と感じさせてしまう可能性があります。特に目上の方やビジネス関係者であった場合、礼を欠いていると受け取られ、その後の関係性に微妙な影響を与えないとも限りません。もちろん、多忙やうっかり忘れなど、様々な事情があることは理解されますが、社会的なマナーとしては、受け取ったご挨拶には何らかの形で応えることが望ましいとされています。もし年賀状の返礼が松の内(一般的に1月7日まで)を過ぎてしまった場合、そのまま放置してしまうのが最も避けるべき対応かもしれません。そこで活用されるのが「寒中見舞い」です。寒中見舞いとして時期をずらしてご挨拶を送ることで、「遅れてしまったけれども、あなたのことを気にかけています」という意思表示になり、丁寧な印象を与えることにつながるでしょう。年賀状をいただいたことへの感謝と、ご挨拶が遅れたことへのお詫びを一言添えるだけで、相手の心象は大きく変わる可能性があるのです。
寒中見舞いを送る最適な時期とは
年賀状が出せなかった場合のフォローとして寒中見舞いを送る際、最も重要なのが「時期」です。寒中見舞いは、文字通り「寒い季節(寒中)に相手の健康を気遣う見舞い状」です。この「寒中」とは、二十四節気の「小寒(しょうかん)」から「大寒(だいかん)」を経て「立春(りっしゅん)」の前日までを指します。具体的には、年賀状を送る期間である「松の内」が明けてから送るのがマナーです。松の内が明ける日は地域によって異なる場合がありますが、一般的には1月7日(関東など)とされることが多いです。したがって、寒中見舞いを出し始めるのは、1月8日頃からが目安となります。そして、寒中見舞いを送る期限は「立春」の前日までです。立春は例年2月4日頃にあたりますので、相手に届くことを考慮すると、遅くとも2月3日頃までには投函するのが望ましいでしょう。この「1月8日頃から2月3日頃まで」という期間が、寒中見舞いを送る最適なタイミングと言えます。年賀状のお詫びを兼ねる場合は、相手が「返事が来ないな」と気にし始める時期でもあるため、松の内が明けたらなるべく早めに行動に移すのが賢明かもしれません。
寒中見舞いの基本的な構成要素
年賀状が出せなかった時のお詫びを兼ねる寒中見舞いの例文を考える前に、まずは基本的な構成を理解しておくことが大切です。一般的な寒中見舞いは、以下の要素で成り立っていることが多いです。
一つ目は、「寒中お見舞い申し上げます」という定型句です。これは季節の挨拶であり、年賀状の「あけましておめでとうございます」に代わるものと考えられます。
二つ目は、時候の挨拶です。「寒さが身に染みる季節となりましたが」など、厳しい寒さの中で相手の健康を気遣う言葉を続けます。
三つ目は、本題です。ここで年賀状が出せなかったお詫びや、年賀状をいただいたことへのお礼を述べます。「ご丁寧な年始のご挨拶をいただきながら、ご挨拶が遅れまして誠に申し訳ございません」といった形です。
四つ目は、相手の健康を気遣う言葉です。「厳寒の折、どうぞご自愛くださいませ」といった結びの挨拶が入ります。
五つ目は、日付です。年賀状のように元旦とは書かず、「令和〇年一月」というように、年月のみを記載するのが一般的です。
これらの要素を、送る相手との関係性(ビジネス、友人など)に合わせて、言葉遣いを調整しながら組み立てていくことになります。
年賀はがきや切手は使えるか
年賀状を出しそびれた際、手元に余った年賀はがきや年賀切手を使いたくなるかもしれませんが、これはマナー違反となるため注意が必要です。年賀はがきや年賀切手は、その名の通り「年賀状」を送るためのものであり、松の内(1月7日頃まで)に届ける挨拶状に使用するものです。寒中見舞いは、松の内が明けてから出すものですから、時期的に年賀状とは区別されます。そのため、寒中見舞いを送る際には、通常の官製はがき、または私製はがきに普通の切手を貼って送るのが正しいマナーです。もし余った年賀はがきを使用したい場合は、郵便局で手数料を支払うことで、通常のはがきや切手に交換してもらうことが可能です。書き損じた年賀はがきなども同様に交換対象となる場合があります。もし、うっかり年賀はがきで寒中見舞いを書いてしまった場合は、少なくとも「年賀」の文字を二重線などでしっかりと消す必要がありますが、受け取った相手に良い印象は与えにくいため、可能な限り避けるべきでしょう。せっかくお詫びと気遣いの気持ちを伝えるのですから、使用するはがきや切手にも適切な配慮をすることが大切です。
喪中で年賀状が出せなかったお詫び
年賀状が出せなかったお詫びが、喪中(自分自身が喪中)であったため、というケースもあります。この場合、年賀状を出さなかったこと自体はマナー違反ではありません。喪中の際は、年賀状(お祝い事)を差し控えるのが日本の慣習です。しかし、喪中であることを知らずに相手から年賀状をいただいてしまうことはよくあります。その場合に返礼として送るのが寒中見舞いです。この場合の寒中見舞いは、「お詫び」というよりも、「事情の説明と感謝」の意味合いが強くなります。文面には、まず年賀状をいただいたことへのお礼を述べます。次に、「(故人との続柄・名前)が昨年〇月に永眠いたしましたため、年始のご挨拶を差し控えさせていただきました」というように、喪中であったために年賀状を出さなかった旨を簡潔に伝えます。そして、「ご連絡が遅れましたこと、お詫び申し上げます」といった言葉を添えると、より丁寧な印象になるでしょう。故人の情報については、相手との関係性に応じて記載の詳しさを調整することも考えられます。お祝いの言葉(「おめでとう」など)は使わず、淡々と事実と感謝を伝えることがポイントです。
相手が喪中の場合の寒中見舞い
もう一つの喪中に関するケースは、相手が喪中であることを知らずに、こちらが年賀状を送ってしまった場合です。年明けに相手から喪中はがき(寒中見舞いとして届くこともあります)を受け取り、そこで初めてご不幸を知るというパターンも少なくありません。この場合、年賀状というお祝いの挨拶状を送ってしまったことに対するお詫びの気持ちを伝えたいと考えるのは自然なことです。このような時にも、寒中見舞い(または時期によっては余寒見舞い)を送ることが考えられます。その際の文面では、まず「寒中お見舞い申し上げます」と挨拶を述べた上で、「ご服喪中とは存じ上げず、年始状を差し上げてしまい、誠に失礼いたしました」といった形で、非礼を詫びる言葉を明確に記します。続いて、「(故人)様のご冥福を心よりお祈り申し上げます」など、遅ればせながらのお悔やみの言葉を添えます。そして、ご家族を気遣う言葉(「皆様、さぞご傷心のことと拝察いたします」など)を加え、最後に相手の健康を願う言葉で結ぶのが一般的です。お祝いの言葉を避け、故人様とご遺族に配慮した文面を心がけることが何よりも重要です。
年賀状が出せなかったお詫びの例文と寒中見舞いの書き方
ここでは、年賀状が出せなかった時のお詫びを伝えるための具体的な例文を、ビジネスや友人といった相手別、または寒中見舞いをメールなどの方法で送る場合について調査していきます。ご自身の状況に最も近いものを参考に、アレンジしてみてください。順に見ていきましょう。
寒中見舞いの例文(ビジネス・上司向け)
年賀状が出せなかったお詫びの例文(ビジネス)
寒中見舞いの文例で友人向けの堅苦しくないもの
年賀状が出せなかったお詫びを友達に送る
年賀状が出せなかったお詫びのメールやライン
年賀状が出せなかったお詫びと寒中見舞いの例文総まとめ
寒中見舞いの例文(ビジネス・上司向け)
ビジネス関係者や上司に対して、年賀状のお詫びではなく、純粋な季節の挨拶として寒中見舞いを送る場合の例文です。これは、お互いに年賀状のやり取りがなかった場合や、年明けに改めてご挨拶をしておきたい場合などに使用が考えられます。
寒中お見舞い申し上げます
寒さが身に染みる季節となりましたが、
〇〇様(会社名の場合は〇〇株式会社様)におかれましては、
お変わりなくお過ごしのことと存じます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
厳寒の折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
本年も変わらぬご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
令和〇年一月
このように、ビジネスや目上の方への寒中見舞いでは、時候の挨拶、日頃の感謝、相手の健康を気遣う言葉、そして新年の変わらぬお付き合いをお願いする言葉を、丁寧な言葉遣いでまとめることが基本となります。お詫びの要素がない分、より季節の挨拶状としての側面が強くなります。
年賀状が出せなかったお詫びの例文(ビジネス)
年賀状が出せなかったお詫びの例文として、特にビジネスシーンや目上の方から年賀状をいただいたにもかかわらず、返礼が遅れた場合の寒中見舞いの例文です。これは、年賀状が出せなかったことへの明確なお詫びを含める必要があります。
寒中お見舞い申し上げます
寒さの厳しい日が続いておりますが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度は、ご丁寧な年始のご挨拶をいただき、
誠にありがとうございました。
年末年始の慌ただしさに取り紛れ、
ご挨拶が遅れてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。
遅ればせながら、〇〇様(皆様)のご健勝と
貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和〇年一月
ポイントは、まず年賀状をいただいたことへの感謝を述べることです。その上で、「年末年始の慌ただしさに取り紛れ」といった具体的な理由(ただし、言い訳がましくならない程度に)を添えつつ、ご挨拶が遅れたことへの謝罪を明確に記載します。これにより、単なる出し忘れではなく、非礼を詫びる誠意が伝わりやすくなると考えられます。
寒中見舞いの文例で友人向けの堅苦しくないもの
親しい友人に対して送る寒中見舞いの文例で、堅苦しくないものを紹介します。特に、相手から年賀状をもらい、それに対して返事が遅れてしまった場合を想定しています。
寒中お見舞い申し上げます
寒い日が続くけど、元気にしていますか?
素敵な年賀状をありがとう!
〇〇(相手の名前)の写真(やコメント)を見て、
私も元気をもらいました。
年末からバタバタしていて、
新年の挨拶が遅れちゃってごめんね。
まだまだ寒い日が続くから、風邪ひかないように気をつけてね。
本年もどうぞよろしくお願いします!
令和〇年一月
このように、友人宛の場合は、定型句である「寒中お見舞い申し上げます」は残しつつも、その後の文章は柔らかい口調に崩すことが可能です。年賀状の感想を一言添えることで、きちんと読んだことが伝わりますし、「ごめんね」と素直にお詫びの言葉を入れることで、堅苦しさを避けることができるでしょう。
年賀状が出せなかったお詫びを友達に送る
年賀状が出せなかったお詫びを友達に送る場合、前述の例文のようにハガキで送るのが最も丁寧な方法と言えます。特に、相手が手間をかけて写真入りの年賀状や、手書きのメッセージが添えられた年賀状を送ってくれた場合、こちらもハガキという形で応えることが礼儀に適っていると考えられるでしょう。年賀状が出せなかったお詫びを友達に伝える際、その理由を正直に、かつ簡潔に伝えることが大切です。「忙しくて」「うっかりしていて」といった理由を素直に伝え、「遅くなってごめん」と謝罪の意を明確にすることで、友人関係であれば理解してもらえる可能性が高いです。ハガキを送る際には、一言手書きのメッセージを添えることが非常に効果的です。「〇〇の報告、嬉しかったよ!」「今度ゆっくり話したいね」など、相手の年賀状の内容に触れる一文を加えるだけで、お詫びの気持ちに加えて、関係性を大切に思っていることが伝わりやすくなるかもしれません。
年賀状が出せなかったお詫びのメールやライン
現代では、年賀状が出せなかったお詫びをメールやラインで済ませたい、あるいはその方が早いと考えるケースもあるでしょう。相手との関係性によりますが、これらのデジタルツールを使用する際にはいくつかの注意点が考えられます。
まず、年賀状が出せなかったお詫びの例文としてビジネス関係者や目上の方に送る場合、メールはあくまで「取り急ぎのお詫び」と位置づけるのが無難です。メールでお詫びを伝えた上で、「別途、寒中見舞いをお送りいたしました」と一言添え、後から正式にハガキを送ることが最も丁寧な対応と言えるでしょう。
一方、年賀状が出せなかったお詫びを友達にラインで送る場合。これは、普段からラインで頻繁にやり取りしているような、非常に親しい間柄であれば許容されるかもしれません。ただし、相手が心のこもった年賀状を送ってくれたのに対し、ラインのスタンプや短いメッセージだけで返してしまうと、誠意が足りないと受け取られる可能性もあります。ラインで送る場合でも、「年賀状ありがとう!返事が遅くなってごめんね。今年もよろしく!」といったように、感謝と謝罪、新年の挨拶をきちんと文章で伝えることが望ましいでしょう。
年賀状が出せなかったお詫びと寒中見舞いの例文総まとめ
今回は年賀状が出せなかった時のお詫びと寒中見舞いの例文についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・年賀状をもらったのに出さない場合は寒中見舞いで対応する
・寒中見舞いは松の内(1月7日頃)が明けてから送る
・寒中見舞いは立春(2月4日頃)までに届けるのがマナー
・年賀はがきや年賀切手は絶対に使用しない
・寒中見舞いは「寒中お見舞い申し上げます」で始める
・年賀状が出せなかったお詫びと感謝の言葉を明確に記載する
・自分が喪中の場合は服喪中であった旨を伝える
・相手が喪中と知らず年賀状を送った場合はお詫びの寒中見舞いを送る
・ビジネス向けは丁寧語を使い、非礼を詫びる内容を重視
・年末年始の多忙を理由にご挨拶が遅れた旨を記す
・友人向けは堅苦しくない文例で感謝と謝罪を素直に伝える
・親しい友人でも物理的な年賀状にはハガキで返すのが望ましい
・メールやラインでのお詫びはあくまで略式か一次対応
・ビジネスメールではお詫びと共に別途ハガキを送る旨を添える
・最も避けるべきは年賀状をもらったのに何もしないことである
年賀状の返礼が遅れてしまっても、寒中見舞いという形で誠意を伝えることは可能です。
本記事で調査したマナーや例文を参考に、相手との良好な関係を維持するためにも、丁寧な対応を心がけてみてはいかがでしょうか。
適切な対応が、寒い季節の中でお互いの心を温めるきっかけになるかもしれません。