仕事でミスをしてしまったり、何らかのトラブルに関わってしまったりした際に提出を求められることがある「始末書」。いざ書くとなると、どのような点に注意すれば良いのか、特に始末書の書き方で手書きが求められた場合や、縦書きのフォーマットについて悩む方も少なくないのではないでしょうか。社内での手続きだからこそ、しっかりとした形式で誠意を伝えたいものです。この記事では、始末書の基本的な知識から、具体的な書き方、作業ミスや不祥事といったケース別の例文まで、幅広く掘り下げていきます。特に、伝統的な形式である縦書きの書き方や、それに伴う便箋の選び方など、細かな疑問にも対応できるような情報を提供することを目指しました。ネガティブな気持ちになりがちな書類作成ですが、これを機に正しいマナーを身につけ、誠実な対応へとつなげる一助となれば幸いです。
この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることができるでしょう。
・始末書の基本的な役割と構成要素
・手書きや縦書きが求められる理由と具体的な書き方
・作業ミスや社内規定違反など、状況に応じた例文
・始末書を提出する際の封筒の選び方やマナー
始末書の基本的な書き方と例文で知る縦書きのポイント
ここでは始末書の基本的な書き方と、例文を交えながら縦書きのポイントについて説明していきます。始末書は、単に謝罪の意を示すだけでなく、問題の経緯を報告し、二度と同じ過ちを繰り返さないという誓約を形にするための重要な書類です。そのため、定められた形式に沿って、誠意を込めて作成することが求められます。まずは基本となる構成要素や、顛末書との違いを理解することから始めましょう。順に見ていきましょう。
始末書とは?顛末書や始末書との違い
始末書の基本的な構成要素と流れ
始末書の書き方は手書きが基本?便箋の選び方
始末書の縦書きと横書きの使い分け
【始末書の例文】作業ミスの場合
【始末書の例文】社内規定違反の場合
始末書とは?顛末書や始末書との違い
始末書という言葉を聞くと、何か重大な過ちを犯した際に書かされる、という少し重いイメージを持つ方が多いかもしれません。実際に、始末書は業務上の過失や規律違反など、何らかの問題が発生した際に、その事実関係を報告し、謝罪の意を表し、再発防止を誓約するために会社へ提出する公式な文書です。懲戒処分の対象となるようなケースで求められることもあり、その内容が人事評価に影響を与える可能性も考えられます。一方で、似たような書類に「顛末書」や「理由書」といったものがあります。顛末書は、問題の一部始終を客観的に報告することが主目的であり、謝罪や反省の意を含む始末書とは少しニュアンスが異なります。社外の取引先などへ説明するために作成されることも多く、報告書としての性格が強いと言えるでしょう。理由書は、決められた手続きができなかった場合などに、その理由を説明するための書類です。例えば、遅刻や欠勤の理由を届け出る際などに用いられます。このように、始末書は単なる報告書ではなく、本人の深い反省と再発防止への強い意志を示す、非常に重要な意味合いを持つ書類であると理解しておくと良いでしょう。
始末書の基本的な構成要素と流れ
始末書を作成するにあたり、まず押さえておきたいのが基本的な構成要素です。一般的なフォーマットには、記載すべき項目がある程度決まっています。これを無視して作成してしまうと、体裁が整っていないと判断され、誠意が伝わりにくくなる可能性も考えられます。まず、文書の冒頭には提出日と宛名(通常は代表取締役社長など会社の最高責任者)を記載します。次に、右下に自身の所属部署と氏名を書き、捺印します。そして、中央に「始末書」というタイトルを明記しましょう。本文は、以下の要素を順序立てて記述するのが一般的です。一つ目は「問題発生の経緯」。いつ、どこで、何が起こったのか、事実を簡潔かつ正確に記述します。二つ目は「原因」。なぜそのような問題が発生したのか、自身の行動や判断のどこに問題があったのかを客観的に分析して説明することが重要です。三つ目は「謝罪と反省」。引き起こした問題について、深くお詫びする言葉を述べます。四つ目は「再発防止策」。今後、二度と同じ過ちを繰り返さないために、具体的にどのような対策を講じるのかを明確に示します。最後に「以上」と結びの言葉を記載して締めくくるのが一連の流れです。この構成を意識することで、論理的で分かりやすい始末書を作成することができるはずです。
始末書の書き方は手書きが基本?便箋の選び方
現代のビジネスシーンでは、多くの書類がパソコンで作成されるのが一般的です。しかし、始末書の書き方では手書きが基本とされている場合が少なくありません。その理由は、手書きの方がより謝罪の気持ちや反省の念、つまり誠意が伝わりやすいと考えられているためです。パソコンの均一なフォントよりも、一文字一文字丁寧に書かれた文字には、書き手の感情が乗りやすいと感じる人が多いのでしょう。もちろん、会社の規定や上司の指示によってはパソコンでの作成が許可される場合もありますが、特に指定がない場合は手書きで作成する方が無難と言えるかもしれません。そして、始末書の書き方で手書きの便箋を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。まず、便箋の色は白無地のものが最もフォーマルで適切です。キャラクターものや色付き、派手な柄の入った便箋は絶対に避けましょう。サイズは、B5またはA4が一般的です。罫線はあってもなくても構いませんが、ある方が文字をまっすぐに書きやすいため、字に自信がない場合は罫線入りのものを選ぶと良いでしょう。筆記用具は、黒のボールペンまたは万年筆を使用するのがマナーです。消せるボールペンや鉛筆の使用は認められません。こうした細かな配慮が、あなたの誠実な姿勢を伝える上で重要な要素となるのです。
始末書の縦書きと横書きの使い分け
始末書を作成する際、縦書きにすべきか横書きにすべきか迷うことがあるかもしれません。始末書の縦書きと横書きのどちらを選ぶかについては、会社の慣習や規定に大きく依存します。明確なルールが存在するわけではありませんが、一般的には、より丁寧で格式高い印象を与えるのは縦書きとされています。特に、歴史のある企業や役所などでは、公式な謝罪文書として縦書きが好まれる傾向があるようです。もし、手書きで作成するのであれば、縦書きを選ぶことで、より真摯な反省の態度を示すことができる可能性があります。一方で、現代では横書きのビジネス文書が主流であるため、横書きで作成してもマナー違反とされることは少なくなってきました。パソコンで作成する場合は、横書きの方が一般的でしょう。また、始末書の中に数字やアルファベットが多く含まれる場合、横書きの方が見やすいという利点もあります。どちらの形式で作成すべきか迷った場合は、まず上司に相談してみるのが最も確実な方法です。過去に提出された始末書があれば、そのフォーマットを参考にさせてもらうのも良いでしょう。自己判断で進める前に、社内の慣例を確認することが、余計な誤解を避ける上で賢明な判断と言えます。
【始末書の例文】作業ミスの場合
ここでは、具体的な始末書の例文で作業ミスについて見ていきましょう。作業ミスは誰にでも起こりうるものですが、その後の対応が非常に重要になります。誠実な謝罪と具体的な再発防止策を示すことで、信頼回復につなげることが可能です。以下に縦書きを想定した例文を記載しますが、実際の作成時にはご自身の状況に合わせて内容を修正してください。
「始末書
令和七年八月十六日
代表取締役社長
〇〇〇〇殿
営業部第一課
日本太郎印
この度の私の不注意により、〇月〇日付の株式会社△△様向け請求書の金額に誤りが生じ、多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今回のミスは、請求書作成時の最終確認を怠ったことが直接的な原因でございます。本来であれば、上長によるダブルチェックを受ける規定となっておりましたが、締め切りに追われるあまり、独断で手続きを進めてしまいました。自身の業務管理の甘さと、規定遵守に対する意識の低さを痛感し、深く反省しております。
今後は、いかなる状況においても必ず規定通りのダブルチェックを徹底し、セルフチェックの際にはチェックリストを作成・活用することで、同様の事態を二度と引き起こさないことを固くお誓い申し上げます。
この度の件につきまして、重ねて心よりお詫び申し上げます。
以上」
この例文のように、ミスの事実、原因、謝罪、そして具体的な再発防止策を明確に記載することがポイントとなります。
【始末書の例文】社内規定違反の場合
次に、始末書の社内規定違反の例文について考えてみましょう。社内規定は、会社の秩序を維持し、業務を円滑に進めるために定められた重要なルールです。これに違反した場合、その行為の重大性を認識し、真摯に反省する姿勢を示す必要があります。以下に、経費の不正利用といったケースを想定した例文を挙げます。
「始末書
令和七年八月十六日
代表取締役社長
〇〇〇〇殿
経理部
日本花子印
私は、令和七年七月分の経費精算におきまして、社内規定で認められていない私的な会食費用を会議費として申請し、不正に経費を受領いたしました。このことは、会社の服務規律に著しく違反する行為であり、誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます。
今回の不正行為は、社内規定に対する私の認識の甘さ、そして何よりもコンプライアンス意識の欠如が招いたものであり、弁解の余地もございません。会社からの信頼を著しく損なう行為であったと、猛省しております。
今後は、二度とこのような過ちを犯さぬよう、社内規定及び関連法規を改めて熟読・遵守し、高い倫理観を持って業務に邁進することをお誓いいたします。また、不正に受領した金員につきましては、速やかに返納させていただきます。
この度の私の軽率な行動により、皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、重ねて深くお詫び申し上げます。
以上」
このように、違反した事実を明確に認め、その原因が自身の意識の低さにあったことを反省し、今後の行動で信頼回復に努める姿勢を示すことが肝要です。
社内で求められる始末書の書き方と例文で見る縦書きの実践
ここでは社内で始末書を提出する際の書き方や、例文を参考にしながら縦書きの実践的なポイントを見ていきましょう。社内向けの文書であるからこそ、守るべきマナーや注意点が存在します。単にフォーマット通りに書くだけでなく、その背景にある意図を理解することが、誠意を伝える上で不可欠です。不祥事のようなより深刻なケースでの書き方や、手書きで縦書きにする際の具体的なテクニック、さらには封筒の選び方や提出時の作法まで、一歩踏み込んだ内容を解説していきます。順に見ていきましょう。
始末書の書き方で社内向けに注意すべきこと
【始末書の例文】不祥事の場合のポイント
手書きで縦書きする際の注意点とマナー
始末書を入れる封筒の書き方と選び方
始末書を提出する際のマナーとタイミング
始末書の書き方と例文そして縦書きの総まとめ
始末書の書き方で社内向けに注意すべきこと
始末書の書き方で社内向けに作成する場合、特に留意すべき点がいくつかあります。まず第一に、言い訳や他者への責任転嫁と受け取られるような表現は絶対に避けるべきです。問題の原因が自分だけにあるとは限らない場合でも、始末書においては、まずは自身の非を認め、反省の意を明確に示すことが求められます。客観的な事実に基づき、簡潔かつ正確に状況を説明しましょう。次に、感情的な言葉遣いは控え、あくまでも冷静に、事務的なトーンで記述することが大切です。反省の気持ちを伝えることは重要ですが、過度に情緒的な文章はかえって sincerity を疑われる可能性があります。また、始末書を提出する前に、必ず直属の上司に相談し、内容の確認をしてもらうことをお勧めします。上司からのアドバイスを受けることで、より適切な内容に修正できるだけでなく、組織としての対応の一貫性も保たれます。独断で作成・提出することは、新たなトラブルの原因にもなりかねません。最後に、会社の就業規則や懲戒規定を再確認しておくことも重要です。自身の行為がどの規定に抵触するのかを正確に理解した上で、始末書を作成する姿勢が求められるでしょう。
【始末書の例文】不祥事の場合のポイント
始末書の例文で不祥事という、より深刻なケースを扱う際には、一層の慎重さが求められます。情報漏洩やハラスメント、会社の信用を著しく損なうような行為などがこれに該当します。このような場合、単なる作業ミスとは異なり、会社全体に与える影響が甚大であるため、始末書の内容もより重い意味を持つことになります。ポイントは、事実関係を曖昧にせず、正確に記載することです。いつ、どこで、誰が関わり、どのような不祥事を起こしたのかを、ごまかすことなく記述する誠実さが不可欠です。その上で、なぜそのような行為に至ってしまったのか、自身の判断や行動における問題を深く掘り下げて分析し、その原因を明らかにします。そして、会社や関係者に与えた損害の重大さを真摯に受け止め、心からの謝罪の意を表明します。再発防止策についても、精神論だけでなく、具体的な行動計画として示す必要があります。例えば、関連する研修への参加や、専門家からのカウンセリングを受けるなど、第三者の介入を含めた対策を盛り込むことも有効かもしれません。不祥事の内容によっては、懲戒解雇などの厳しい処分が下される可能性も十分に考えられます。だからこそ、始末書は、自身の反省の深さと更生の意志を示すための最後の機会と捉え、誠心誠意作成に臨むべきでしょう。
手書きで縦書きする際の注意点とマナー
始末書の書き方で手書きの縦書きを選択した場合、いくつかの具体的な注意点とマナーが存在します。これらを守ることで、より丁寧で誠実な印象を与えることができます。まず、筆記用具は黒のボールペンか万年筆を使用します。インクの色は黒が基本であり、青やその他の色は避けるべきです。文字の太さも、細すぎず太すぎず、読みやすいものを選びましょう。次に、書き損じた場合の修正方法です。修正テープや修正液の使用は、公式な文書ではマナー違反とされています。もし書き間違えてしまった場合は、面倒でも新しい便箋に最初から書き直すのが原則です。この手間を惜しまない姿勢が、反省の深さを示すことにもつながります。レイアウトに関しては、句読点や行頭の扱いに注意が必要です。縦書きの場合、句読点(、。)は文字の右上に打ちます。行頭に句読点が来ることは避けるのが一般的です。また、数字を記述する際は、漢数字(一、二、三)を使用するのが基本です。会社名や人名などの固有名詞を間違えることは大変失礼にあたるため、最終的な確認は怠らないようにしてください。心を込めて、一字一句丁寧に書くこと。これが、手書きで縦書きの始末書を作成する上で最も大切なマナーと言えるでしょう。
始末書を入れる封筒の書き方と選び方
始末書を書き終えたら、それを入れる封筒にも配慮が必要です。内容が重要であるだけに、封筒の選び方や書き方にもマナーが求められます。まず、封筒の選び方ですが、白無地の二重封筒を使用するのが最も丁寧です。二重封筒は中身が透けにくく、重要書類を入れる際に適しています。サイズは、便箋を三つ折りにしてちょうど収まる長形3号(A4用紙の場合)や長形4号(B5用紙の場合)が一般的です。茶封筒は事務的な用途で使われることが多く、謝罪の文書を入れるにはふさわしくないとされています。次に、封筒の書き方です。表面の中央に、黒のペンで「始末書」と縦書きで記します。宛名は、社内で手渡しする場合は不要とされることもありますが、書く場合は左下に提出先の役職と氏名を小さめに書くのが一般的です。裏面には、左下に自身の所属部署と氏名を記載します。封をする際は、のり付けをしっかり行い、中央に「〆」の字を書き入れます。これは封をしたことを示す印であり、第三者による開封を防ぐ意味合いもあります。セロハンテープでの封緘は避けましょう。このように、提出する最後の瞬間まで気を配ることが、あなたの誠実な態度を伝える上で重要になります。
始末書を提出する際のマナーとタイミング
作成した始末書を提出する際にも、守るべきマナーと適切なタイミングがあります。まず、提出のタイミングですが、問題が発覚し、提出を指示されたら、可能な限り速やかに作成し提出するのが原則です。提出が遅れると、反省していない、あるいは問題を軽視していると受け取られかねません。もし作成に時間がかかる場合は、事前にその旨を上司に報告し、いつまでに提出できるか目安を伝えておくと良いでしょう。提出方法は、必ず直属の上司に直接手渡しします。他の人に預けたり、デスクに置いておいたりするのはマナー違反です。上司が不在の場合は、戻る時間を待って手渡しするのが基本です。提出する際には、封筒から始末書を出し、上司が読みやすい向きにして両手で差し出します。そして、「この度は、私の不始末により多大なるご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。」といったように、改めて謝罪の言葉を口頭で述べることが重要です。始末書という書類を提出して終わり、という態度ではなく、自身の言葉で反省の意を伝えることで、より誠意が伝わります。提出後、上司から何らかの指示や言葉があれば、それを真摯に受け止めましょう。一連の行動すべてが、あなたの評価につながる可能性があることを忘れてはいけません。
始末書の書き方と例文そして縦書きの総まとめ
今回は始末書の書き方や例文、特に縦書きのフォーマットについてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・始末書は業務上の過失や規律違反に対し反省と再発防止を誓う公式文書である
・顛末書は事実報告が主目的であり始末書とは性格が異なる
・始末書の基本構成は宛名、日付、本文(経緯、原因、謝罪、対策)などから成る
・誠意を伝えるため手書きでの作成が基本とされることが多い
・手書きの場合の便箋は白無地のA4かB5サイズが適切である
・筆記用具は黒のボールペンか万年筆を使用する
・伝統的でより丁寧な印象を与えるのは縦書きである
・横書きはPC作成の場合や数字が多い場合に用いられることがある
・作業ミスの例文では具体的な原因分析と再発防止策の提示が重要である
・社内規定違反の例文では規定への認識の甘さを認め反省の意を示す
・不祥事の場合は事実関係を正確に記載し深刻な反省を示す必要がある
・社内向けに作成する際は言い訳を避け客観的な記述を心がける
・手書きの縦書きでは修正液等を使わず書き直しが原則である
・封筒は白無地の二重封筒を選び表に「始末書」と記載する
・提出は速やかに直属の上司へ直接手渡しで行うのがマナーである
始末書を書くという状況は、決して望ましいものではありません。しかし、万が一そのような事態に直面した際には、本記事でご紹介した書き方やマナーを参考に、誠意が伝わる書類作成を心がけてみてください。今回の内容が、あなたの不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。